きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

今回は、具体例でかんがえてみましょう。

東京ー真鶴(神奈川県)は95.8キロ(運賃は1,690円)です。
もう少しで100キロです。
101キロ以上のきっぷを持っていれば途中下車も可です。
その都度きっぷを買わずにすむわけですから、
この場合熱海まで(104.6キロ)のきっぷを買って出かけました。

そしてつぎのように途中下車しました。

東京(170円)品川(220円)川崎(220円)
横浜(310円)大船(330円)平塚(420円)
小田原(240円)真鶴

合計金額は、1,910円です。
東京ー熱海の運賃は1,980円ですので、
確かにその都度きっぷを買う手間が省けましたが。
金額は70円高くついてしまいました。

どの位途中下車をしなければ引き合わないか?
同じコースで次のような途中下車をしました。
大船までは上記の例と同じです。

東京(170円)品川(220円)
川崎(220円)横浜(310円)
大船(190円)藤沢(200円)
茅ヶ崎(190円)平塚(240円)
国府津(200円)小田原(240円)
真鶴

運賃合計は2,180円です。
100キロ未満のところへ行く場合、
この程度、途中下車しなければ、
101キロ以上のきっぷを
使うメリットがでてこないのです。
しんどいですね!

Sきっぷなどの各種割引きっぷは、
途中下車を禁じています。
この種のきっぷの利用の際は、気をつけなければなりません。

このきまりを知らずにうかつに途中下車をしようものなら、
さっ!ときっぷを取り上げられてしまい、悔しい思いをしますよ!

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上野(東京都)から常磐線の水戸(茨城県)へ行く場合、
途中の荒川沖で下車する例を考えてみます。
上野ー水戸の運賃は、121.1キロできっぷ、IC乗車券共2,310円です。
当然、101キロ以上のきっぷですから荒川沖での途中下車は
可能(IC乗車券の場合は、途中下車すると
上野ー荒川沖の運賃が差し引かれてしまいます)です。

ですが、上野ー荒川沖のきっぷで出かけ、
荒川沖で改めて荒川沖ー水戸ときっぷを買ったとします。
通しで買ったきっぷで途中下車をしたときと荒川沖までのきっぷを
買って出かけ、荒川沖で水戸までのきっぷを買ったときを比較すると、
上野で荒川沖までのきっぷを買って出かけ、
荒川沖で水戸までのきっぷを買ったとき、
IC乗車券の場合は荒川沖で下車し、
荒川沖から水戸へ行ったとき、

               きっぷ、IC乗車券共
 上野ー荒川沖(59.4キロ)  990円
 荒川沖ー水戸(58.1キロ)  990円
 合計             1,980円

このときは、上野ー水戸と通しで買ったきっぷで途中下車するより、
上野ー荒川沖と買って出かけたほうが330円も安いのです。

水戸ー荒川沖のような例は、品川ー三島でも起こります。
品川ー三島の実キロは113.7キロですが、
品川が山手線内の駅のため、
東京ー三島間の実キロ120.7キロで運賃が計算されるため、
2,310円です。
101キロ以上のきっぷですので、どこでも途中下車可能です。

しかし、途中の平塚に用があって降りるとすれば、
水戸ー上野と同じで、分けたほうがきっぷの場合
330円安くなります。
平塚ー三島間はIC乗車券は使用できないため、
きっぷの購入となります。

              きっぷ、IC乗車券共
 品川ー平塚(57.0キロ)  990円
 平塚ー三島(56.7キロ)  990円
 合計           1,980円

もう一つの例、中央本線の笹子(山梨県)から
新宿(東京都)へ行くとき、笹子で新宿までのきっぷを買うと
1,980円(途中下車可、
IC乗車券の場合も1,980円)ですが、
まず笹子から途中の高尾(東京都)までのきっぷを買って
出かけ高尾で下車して新宿までのきっぷを買うと

                きっぷ   IC乗車券
 笹子ー高尾(47.3キロ)  860円    858円
 高尾ー新宿(特定区間)    570円    570円
 合計           1,430円 1,428円

きっぷの場合、1,430円で、550円、
IC乗車券の場合、1,428円で、552円安くなってしまうのです。

この方法は、以前記述した山手線発着の場合、
東京都区内・特定市内発着の場合に当てはまります。

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さて、実際例で途中下車のソントクをみてみましょう。

東京から横浜(28.8キロ)まで行く場合、直通ではきっぷ470円、
IC乗車券464円です。ところが、

        きっぷ  IC乗車券
東京ー新橋   140円  136円
新橋ー田町   140円  136円
田町ー品川   140円  136円
品川ー大森   160円  157円
大森ー川崎   170円  168円
川崎ー鶴見   160円  157円
鶴見ー横浜   170円  168円

と下車しながら横浜へ行ったとします。

100キロ以内のきっぷは途中下車できないので、
その都度きっぷを買わなければなりません。
IC乗車券の場合はその都度改札を出たり、
入ったりしなければなりません。

そうした場合、買ったきっぷ代は、
総額で1,080円(IC乗車券の場合は、1,058円)にもなって、
きっぷの場合600円、IC乗車券の場合、585円も余計にかかってしまいます。

このような体験のため、
近距離は割高という観念が生じてしまうのですが、
さに非ずであることは、
キロ当たりの運賃からみて450キロぐらいまでで,
一番安いのが15キロであることを想い出してください。

ところで、東京から横浜までトントンと降りながらいくと
運賃がえらく高くなってしまう場合を例として挙げましたが、
これはたった一例にすぎません。

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101キロ以上の乗車券を買えば、
途中下車ができるということを大抵の人が知っています。
Bさんは山手線田端(東京都)から、高崎線の高崎まで行きます。
田端で高崎までのきっぷを買うと
1,980円(105.0キロ、IC乗車券1,980円)です。

このきっぷなら途中下車できるので有利だぞっと、
大宮、鴻巣で途中下車して用事をすませようとしました。
ところで、あとでわかったのですが、途中下車ではなく、
その都度きっぷ(IC乗車券は各駅で下車する)を買うと

                   きっぷ   IC乗車券
 田端ー大宮(東京の電車特定区間)  400円   396円
 大宮ー鴻巣(本州3社の幹線区間)  330円   330円
 鴻巣ー高崎(本州3社の幹線区間)  990円   990円
 合計               1,720円 1,716円

きっぷ1,720円、IC乗車券1,716円ですんでしまいます。

通しできっぷを買い、
途中下車をした(IC乗車券では途中下車せずに着駅まで行く)ほうが
安くなるという回路がBさんのアタマの中にできあがっていた・・・。
やはり、ひとつひとつ検討して具体的な例にそって決めなければならないのです。

JRの時刻表には、次のような説明があります。
●乗車券は券面に示された区間内で、
 あともどりしない限り何回でも途中下車ができます。

 
 へぇ~、そうか。とそそっかしい人なら思い込んでしまうような表現ですが、
 次の項をみないと大変なことになります。次の項には、

●次の乗車券は例外です。
 ①片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券
 ➁東京・大阪・福岡近郊区間だけを通る乗車券
 ➂回数券
 ④途中下車を禁止した一部の割引きっぷなど

 さらに、
●都区内・特定市内が発着となる乗車券では、
 同一都区内、特定市内の駅では途中下車できません。
 東京山手線内発着となる乗車券も同じです。
 都区内・特定市内発の乗車券は、
 すでに乗車した区間の運賃を別途払えば、
 その区間内の駅では下車することができます。(以下、省略)

次回は、実際例で途中下車のソントクをみてみましょう。

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さて、東京都区内ではなく、この規則のあてはまる10都市の場合について、
みてみましょう。
規則を上手に活用する原則は、市内駅に含まている駅へ行くとき、
中心駅より手前の駅か、先の駅かでこの規則の活用法が変わってきます。

例1

紀勢本線の紀伊有田(和歌山県)から阪和線の杉本町(大阪市内駅)へ行くとき、
紀伊有田の駅で杉本町までのきっぷを買うと、
紀伊有田と大阪の距離が225.3キロのため、
運賃は紀伊有田ー大阪できまってしまい、4,070円となります。
そこで大阪市内駅となるのをはずして、杉本町の手前の駅まで買って行くのです。
都合よく当てはまるのは、同線上(紀勢本線上)の鳳(おおとり)です。
そこで紀伊有田で鳳までのきっぷを買って出ると次のようになります。

 紀伊有田ー杉本町(225.3キロ)  4,070円

 紀伊有田ー鳳(199.5キロ)    3,410円
 鳳ー杉本町(8.2キロ)         200円
 合計                 3,610円

460円のおトクとなります。

このように中心駅より手前の市内駅へ行くときは、市内駅をはずして、
手前の駅までのきっぷを買って出かけることにします。
同じような例です。
鹿児島本線の八代(熊本県)から折尾(北九州市内の駅)へ出かけるとき、
八代で折尾までのきっぷを買うと、
八代ー折尾は実キロの202.2キロ(4,070円)なのに
折尾は北九州市内駅のため、
中心駅の小倉までのきっぷ(222.3キロで4,400円)を
買わなくてはならないのです。
そこで折尾の二つ手前の駅の遠賀川(おんががわ、福岡県)までを
買います(198.0キロ、3,740円)。その差は660円です。
遠賀川ー折尾(4.2キロ)の乗り越し運賃は210円ですので、
450円安く行けるのです。

八代ー折尾  4,070円

八代ー遠賀川 3,740円
遠賀川ー折尾   210円                    
合計     3,950円

次回は、この規則をうまく使うもうひとつの方法について、みてみましょう。