きっぷ,運賃計算ルール,鉄道

さて、東京都区内ではなく、この規則のあてはまる10都市の場合について、
みてみましょう。
規則を上手に活用する原則は、市内駅に含まている駅へ行くとき、
中心駅より手前の駅か、先の駅かでこの規則の活用法が変わってきます。

例1

紀勢本線の紀伊有田(和歌山県)から阪和線の杉本町(大阪市内駅)へ行くとき、
紀伊有田の駅で杉本町までのきっぷを買うと、
紀伊有田と大阪の距離が225.3キロのため、
運賃は紀伊有田ー大阪できまってしまい、4,070円となります。
そこで大阪市内駅となるのをはずして、杉本町の手前の駅まで買って行くのです。
都合よく当てはまるのは、同線上(紀勢本線上)の鳳(おおとり)です。
そこで紀伊有田で鳳までのきっぷを買って出ると次のようになります。

 紀伊有田ー杉本町(225.3キロ)  4,070円

 紀伊有田ー鳳(199.5キロ)    3,410円
 鳳ー杉本町(8.2キロ)         200円
 合計                 3,610円

460円のおトクとなります。

このように中心駅より手前の市内駅へ行くときは、市内駅をはずして、
手前の駅までのきっぷを買って出かけることにします。
同じような例です。
鹿児島本線の八代(熊本県)から折尾(北九州市内の駅)へ出かけるとき、
八代で折尾までのきっぷを買うと、
八代ー折尾は実キロの202.2キロ(4,070円)なのに
折尾は北九州市内駅のため、
中心駅の小倉までのきっぷ(222.3キロで4,400円)を
買わなくてはならないのです。
そこで折尾の二つ手前の駅の遠賀川(おんががわ、福岡県)までを
買います(198.0キロ、3,740円)。その差は660円です。
遠賀川ー折尾(4.2キロ)の乗り越し運賃は210円ですので、
450円安く行けるのです。

八代ー折尾  4,070円

八代ー遠賀川 3,740円
遠賀川ー折尾   210円                    
合計     3,950円

次回は、この規則をうまく使うもうひとつの方法について、みてみましょう。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

都区内行きのきっぷで、東京より遠いところ(東京を通過して)へ
行くときのことをみます。
「運賃は発駅と東京間できまる」という規則のうま味を利用した、
という例をひとつ。

前出の東北本線白石(宮城県)よりひとつ東京寄りの伊達から、
京浜東北線の鶴見(神奈川県)へ行く場合です。
この場合は、東京ー伊達の距離298.6キロがものをいいます。
あと1.5キロ距離が長いと、運賃がワンランク上がってしまいます。
ぎりぎりのところがいいのです。

伊達から東京都区内行きの運賃は298.6キロ=5,170円です。
このきっぷで蒲田(都区内の駅)まで行けます。
したがって乗り越し精算は蒲田ー鶴見間となります。
伊達から鶴見まできっぷを買って出かけて来たときと、
都区内行きのきっぷで鶴見まで乗り越したときとを
比べてみるとつぎのようになります。

伊達で、鶴見までのきっぷを買うと運賃は、
伊達ー横浜間の327.4キロできまります。
5,720円です。伊達ー横浜間は201キロを超えており、
鶴見は横浜市内駅のため、こうなるのです。

伊達ー鶴見(320.3キロ) 5,720円

伊達ー蒲田(298.6キロ) 5,170円
蒲田ー鶴見(7.3キロ)     190円(IC乗車券の場合 189円)
合計             5,360円(きっぷ+IC乗車券 5,359円)

きっぷ360円、きっぷ+IC乗車券 361円の節約です。
帰りは鶴見から蒲田へ出て、蒲田から伊達までのきっぷを買うと、
行きと同じく、きっぷ360円、きっぷ+IC乗車券 351円の節約です。
伊達を出てくるときあらかじめ往復きっぷを買って出かけて来れば、
蒲田で降りてきっぷを買う必要はありません
(この手はIC乗車券では実現できません)。
往復で720円もトクします。

重ねて申し上げますが、注意するのは、きっぷ+IC乗車券で行う場合は、
IC乗車券は駅改札の出入りで
運賃計算(IC乗車券内の電子マネーの差し引きを行う)をするため、
必ず蒲田で一旦下車し、改札を出て、再度改札をIC乗車券で通過して、
再度乗車して目的駅で下車して、改札をくぐることになります。
伊達で買ったきっぷをもってそのまま目的駅(鶴見)で精算すると、
たとえIC乗車券で精算したとしてもきっぷの精算額となるので注意してください。

また、上記のケースでは、
JR東日本管内でIC乗車券を使うケースでしたが、
JR東日本管内でIC乗車券を使っても必ずしもきっぷよりも
安くならないケースがありますので、ご注意ください。
JR東日本管内のSuica,TOICAなどのIC乗車券が
使用できるエリアでは1円単位の普通運賃設定となっているので、
上記のようなことが可能です。

JR東日本管内のSuica,TOICAなどのIC乗車券が
使用できるエリア以外でIC乗車券を使用する場合は、
きっぷの運賃額と同じとなります。
例えば、SuicaやPASMOをJR東日本以外のJR東海、JR西日本、
JR九州、JR四国、JR北海道で使用する場合です。

次回は東京都区内ではなく、
この規則のあてはまる10都市の場合について、みてみましょう。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

白石ー蒲田のようにトクする例はともかく問題は、
白石ー赤羽のような場合です。
その対策は、山手線の場合と基本は同じです。
つまり、白石から都区内となる手前の駅まで買って出かけてくるのです。
赤羽の一つ手前は川口ですので、川口までのきっぷを買って来て、
赤羽で川口ー赤羽間の乗り越し精算をします。

白石ー川口  5,170円
川口ー赤羽    150円(IC乗車券の場合147円)
合計     5,320円(きっぷ)
       5,317円(きっぷ+IC乗車券)

このようにすると、きっぷで180円、
きっぷ+IC乗車券で183円の節約ができます。
このケースでは、白石ー川口間は、
291.0キロ(281~300キロの運賃は同じ)なので、
川口よりさらに11キロ以上手前の駅まで
買ってきて(もう1ランク運賃が安くなるので)、
そこから赤羽までの乗り越し精算をすればどうなるか?

同線(東北本線)上の与野(埼玉県)がそれに当てはまります。
白石ー与野は279.2キロで与野ー赤羽間は14.4キロです。

さて、運賃は?

白石ー赤羽  5,500円

白石ー与野  4,840円
与野ー赤羽    240円(IC乗車券の場合242円)
合計     5,080円(きっぷ)
       5,082円(きっぷ+IC乗車券)

川口まできっぷを買ってでて来るより、
与野までのきっぷを買って来て乗り越した方がさらに240円安く、
白石ー赤羽のきっぷを買って来たときより420円も安くなりました。

ここで注意するのは、きっぷ+IC乗車券で行う場合は、
IC乗車券は駅改札の出入りで、
運賃計算(IC乗車券内の電子マネーの差し引きを行う)をするため、
必ず川口あるいは与野で一旦下車し、改札を出て、
再度改札をIC乗車券で通過して、再度乗車して目的駅で下車して、
改札をくぐることになります。
白石で買ったきっぷをもってそのまま目的駅(赤羽)で精算すると、
たとえIC乗車券で精算したとしてもきっぷの精算額となるので注意してください。

また、上記のケースでは、JR東日本管内でIC乗車券を使うケースでしたが、
JR東日本管内でIC乗車券を使っても、
必ずしもきっぷよりも安くならないケースがありますので、ご注意ください。
JR東日本管内のSuica,TOICAなどのIC乗車券が使用できるエリアでは、
1円単位の普通運賃設定となっているので、上記のようなことが可能です。

JR東日本管内のSuica,TOICAなどのIC乗車券が使用できるエリア以外で
IC乗車券を使用する場合は、きっぷの運賃額と同じとなります。
例えば、SuicaやPASMOをJR東日本以外のJR東海、
JR西日本、JR九州、JR四国、JR北海道で使用する場合です。

このようなケースに則(そく)して考え行動することが大切です。
ひとつ手前の駅まで買えばいいのでは、という単純に考えてはならないことを
この例は示しています。

次回は、都区内行きのきっぷで、
東京より遠いところへ行くことについて考えて見ましょう。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

東北本線の白河(福島県)から188.2キロですので、200キロ以内です。
そのため、白河で東京までのきっぷを買うと「山手線内行」となります。

一方、同じ東北本線の郡山(福島県)~東京は226.7キロ、
200キロを超えているため、東京都区内にある駅へ行くばあい、
目的駅とのキロ(距離)に関係なく、「
郡山-東京」のキロ(距離)で運賃がきまり、
「郡山から東京都区内行き」となります。

東北本線白石(宮城県)-東京の実際の距離は306.8キロです。
この規則によって、白石で赤羽(東京都)までのきっぷを買うと運賃は、
5,500円になってしまいます。
白石ー赤羽間の実際の距離は293.6キロでこの規則の適用がなければ、
5,170円ですみます。赤羽-東京間は13.2キロも離れているため、
山手線内発着のときよりも矛盾は大きくなります。

ただし、白石から蒲田(京浜東北線、都区内の駅)へいくとき、
白石-蒲田間は321.2キロで本来運賃は5,720円のはずですが、
この規則のために5,500円ですんでしまうということも起こります。

次回は、上記の対策について、
この規則(都区内と各特定市内駅における特例)について検討し、
例をあげて5回程度に分けて説明していきます。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

山陽本線広島から鹿児島本線小倉まできっぷを買うと3,740円です。
このきっぷは「北九州市内行き」のしるしがついています。
このきっぷで同線上の教育大前へ行きます。
広島で教育大前までのきっぷを買いますと、4,580円するのですが、
北九州市内行きのきっぷをつかっての教育大前での乗り越し精算は280円なのです。
3,740円と280円、つまり4,020円で教育大前へ行けるのです。
560円安くなります。

さて、この「北九州市内行き」の市内駅は、
北九州市内の25駅が範囲にはいっています。
そしてその中心駅が小倉となっていて、小倉から200キロ以上離れた駅から、
範囲内の25駅へくるときは、それぞれの駅と出発駅間のキロで運賃が
決まるのではなく、出発駅と中心駅小倉のキロで,
運賃が決まるというキソクなのです。

この「キソク」があてはまるところは全国で11あります。
以下に市内駅名と中心駅(カッコ内)を示します。

 東京都区内(東京駅)      札幌市内の駅(札幌駅)
 仙台市内の駅(仙台駅)     横浜市内の駅(横浜駅)
 名古屋市内の駅(名古屋駅)   京都市内の駅(京都駅)
 大阪市内の駅(大阪駅)     神戸市内の駅(神戸駅)
 広島市内の駅(広島駅)     北九州市内の駅(小倉駅)
 福岡市内の駅(博多駅9

201キロ以上離れたところから、上に掲げたところへ出かけるときは、
運賃計算に注意が必要です。
ちなみに、北九州市内駅行きとなるのは、
山陽本線五日市(201.4キロ)、鹿児島本線八代(222.3キロ)、
長崎本線長崎(222.1キロ)、日豊本線佐伯より1つ先の上岡
(202.4キロ)などが、北九州市内ゆきとなる目安の駅です。

この規則は、山手線内発着の乗車券の規則をひと回り大きくしたものです。

(1)この規則は東京~発着駅が201キロ以上の場合に適用される。
   東海道本線の場合、西焼津は197.0キロで山手線内行となり、
   隣の藤枝は200.3キロのため、東京都区内行となるといった具合です。
(2)山手線発着が山手線内(代々木-秋葉原を含む)だったのに
   東京都区内に拡大される。

次回から具体例でこの規則を見てみましょう。