きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

JRの営業案内ページは、「鉄道の普通運賃表(営業キロ別)」から始まっています。
これを見てまず気づくのは、JRの運賃が下記のように7つの基本運賃に分かれていることです。

・本州3社(幹線)の運賃表(A表、1種類の運賃表)
・本州3社(地方交通線)の運賃表(B表、1種類の運賃表)
・JR北海道(幹線)・JR四国・JR九州の運賃表(D表、F表、3種類の運賃表)
・JR北海道(地方交通線)の運賃表(E表、1種類の運賃表)
・JR四国・JR九州(地方交通線)の運賃表(G表、2種類の運賃表)
・電車特定区間の運賃表(1種類の運賃表)
・山手線内・大阪環状線内の運賃表(1種類の運賃表)

これに加えて、下記特定区間の運賃表があるので、合計13種類の運賃表があります。

・東京・名古屋・大阪の特定区間の運賃表(1種類の運賃表)
・JR四国・JR九州内で幹線と地方交通線とを連続してご利用になる特定運賃(2種類の運賃表)

おまけに、2014年4月の消費税増税による運賃改定で、JR東日本が1円単位のIC運賃を
導入し、これに関連して「電車特定区間内」と「山手線・大阪環状線内」の運賃がJR東日本と
JR西日本で異なるようになったため、JR東日本のIC運賃(幹線、地方交通線、山手線内、東京の
電車特定区間、東京地区の特定区間)の運賃表5つが増えており、合計18種類の運賃表が
存在します。

また、上記に加えて、本州3社(JR東日本・JR東海・JR西日本)、
3島(JR北海道・JR四国・JR九州)にまたがる時の加算額表(C表)があります。

・JR北海道・JR四国・JR九州にまたがって乗車する場合の(幹線)加算額表(C表、
 3種類の加算表)

よって、18種類の運賃表と3種類の換算表を使用して、運賃計算するわけですから、
JR運賃の計算は複雑になります。JR運賃の計算が複雑になっている要素は、下記5つの
要素です。

・多様な賃率(本州3社および3島各社、幹線、地方交通線、電車特定区間、山手線・
 大阪環状線内)
・地方交通線の運賃計算の差異(本州3社・JR北海道の地方交通線賃率とJR四国・
 JR九州の擬制キロ方式)
・賃率計算によらない特定運賃の設定(特定キロ帯、特定区間)
・本州3社と3島会社にまたがる乗車に適用される加算額
・2014年運賃改定においてJR東日本が採用した1円単位のIC運賃

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

鉄道で旅行をする時に必ず支払わなければならない運賃の額は、乗車する区間の経路通りに
計算された「営業キロ」に応じています(「営業キロ」については、「運賃に関する用語に
ついて(その1)」で説明済)。

例えば、小田原から熱海までの営業キロは、104.6km-83.9km=20.7kmです。これを時刻表では
巻末の営業案内(ピンク色の紙に印刷されていることが多いので、「ピンクのページ」
(俗称:ピンクページ)などと呼ばれます)にある運賃表に照らし合わせれば、
運賃がわかります。

この場合は、東海道本線は本州3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)の幹線ですので、
本州3社(幹線)の普運賃表(A-1表)を参照して、21kmの場合は21~25kmに該当するので、
紙のきっぷもICカード乗車券(Suicaなど)でも410円であることがわかります。
後で詳しく解説しますがJR運賃表は路線の種類に応じていくつかあります。

そして、JR運賃・料金を計算する際には、もう一つ原則があります。
国鉄が分割・民営化されてJR各社が発足した時、全国で一社だった頃のサービスを崩さないと
いう前提から、JRの異なる会社間をまたがって乗る場合であっても、運賃は通算するという
きまりが設けられました。
例えば、東京ー大阪間を東海道本線経由で旅行する場合、東京~熱海間はJR東日本、
熱海~米原間はJR東海、米原~大阪間はJR西日本の路線ですが、運賃を計算するときは
熱海や米原で切る必要はなく、東京~大阪間の営業キロ556.4kmに対応する8,750円と
なります。