ひと駅でも「電車特定区間」をはみ出すと運賃計算が変わるのでご用心!

 幹線、11キロ~15キロの運賃を比較してみましょう。
幹線は、240円、地方交通線は240円、電車特定区間は220円、
山手線・大阪環状線内は、山手線200円、大阪環状線内200円です。
ちなみに、JR東日本のICカード運賃は、消費税を1円単位で設定しているため、
幹線は、242円、地方交通線は242円、電車特定区間は220円、
山手線・大阪環状線内は、山手線198円です。

それぞれ、20円ずつの違いですが、幹線と山手線では40円、
幹線と大阪環状線では40円の開きがあります。
な~んだ、20円、40円の違いか、と思われるかもしれませんが、
実はこの20円が大きくものをいうのです。

何しろ、普通運賃は定期運賃やその他の割引運賃のモトとなるわけですから、
20円の開きが大きな意味を持ってきます。

時刻表の電車特定区間の普通運賃表のところを見ますと、
『東京・大阪の電車特定区間内(上図の範囲)のみをご乗車の場合は、
「電車特定区間の普通運賃表」をご覧ください』、
そして山手線内・大阪環状線内のみをご利用になる場合は、
「山手線内・大阪環状線内の普通運賃表をご覧ください」とあります。

したがって、これらの運賃はあくまでも、その範囲内のみを利用した時に
適用される運賃で、電車特定区間を一つでもはみ出した場合は、
他の運賃になってしまうのです。
例えば、電車特定区間からはみ出し、幹線をまたがって利用したときには
幹線の運賃となってしまうのです。

大阪の電車特定区間の図を見ると、京都よりひとつ範囲をはみ出た(東京寄り)、
山科から西明石まで行く場合、運賃はたったひと駅はみ出たために
「幹線の普通運賃表」によって計算されてしまうのです。

 山科→京都→西明石(104.2キロ)=1,980円(幹線)
 京都→西明石(98.7キロ)=1,610円(電車特定区間)

山科~京都間は6キロ(5.5キロ)で運賃は、190円です。
それなのに運賃は370円の差となってしまいます。
山科~西明石を幹線の普通運賃表ではなく、電車特定区間の普通運賃を
適用してみると1,870円で、幹線運賃より110円安くなります。
このような違いが出てくることが、運賃を18種類に分けた問題なのです。

※東京の電車特定区間(山手線内は除きます)
  東京から行くと、下記の駅の範囲までです。
  横須賀線:久里浜まで、東海道本線・根岸線:大船まで、
  横浜線:東神奈川~橋本~八王子間、中央本線:高尾まで、
  青梅線:立川~奥多摩まで、五日市線:立川~武蔵五日市まで、
  武蔵野線:府中本町~武蔵浦和~南浦和~新松戸~西船橋~
千葉みなと(京葉線)まで、
  総武本線:千葉まで、常磐線:取手まで、東北本線・埼京線:大宮まで
※山手線内
  東京、品川、代々木、新宿、池袋、田端、日暮里、秋葉原、
神田の山手線で囲まれる範囲の全駅
※大阪の電車特定区間(大阪環状線内を除きます)
  大阪から行くと、かきのえきのは範囲までです。
  東海道本線(上り):京都まで、東海道本線・山陽本線:西明石まで、
片町線:長尾まで、
  おおさか東線:放出~久宝寺間、関西本線:奈良まで、
  阪和線:和歌山まで(鳳~東羽衣を含む)
※大阪環状線
  大阪、京橋、天王寺、今宮、西九条の大阪環状線で囲まれる範囲の全駅と
  桜島線(西九条~桜島間)。ただし、JR東西線各駅は除く