きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

さらに定期券を2つに分けると安くなる例をみてみましょう。

京都から垂水(たるみ、兵庫県)までJRで通勤する場合、
6カ月の定期運賃は次のようになります。

 京都ー垂水(89.0キロ)   218,580円

 京都ー神戸(特定区間)     158,400円
 神戸ー垂水(13.1キロ)    34,840円
 合計              193,240円

25,340円の節約となります。

特定区間の運賃表をみますと、京都ー神戸間は普通運賃1,100円と
なっています。しかし、この表をさらに丹念に見てみると京都ー大阪間
570円(特定区間)、大阪ー神戸間410円(特定区間)となっている
ことが分かります。

そこで、京都ー神戸ときっぷを買わずに京都ー大阪、
大阪ー神戸と分けて買うと、普通運賃で120円安くなっていることが
分かります。

このようにして、京都ー神戸間の6カ月定期運賃をみると、

 京都ー神戸(特定区間)     158,400円

 2つに分けて買ったとき、
 京都ー大阪(特定区間)      80,780円
 大阪ー神戸(特定区間)      60,180円
 合計              140,960円

さて、そこで、京都ー垂水(218,580円)のときも、通しで買わずに
京都ー大阪、大阪ー神戸、神戸ー垂水と3つに分けて買えば、
42,780円の節約ができます。この額は通しで買ったときの実に
19.6%に当たります。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道,電子書籍

特定区間をうまく活用して節約した例をもう少し考えていきます。
今回は3回シリーズの最終回です。

例5
京都-神戸(75.9キロ)が特定区間(1,100円)で,
普通運賃(1,270円)と比べて170円安くなっているのに
京都-大阪(42.8キロ、特定運賃570円)、
大阪-神戸(33.1キロ、特定運賃410円)とつなぐと
普通運賃(75.9キロ、1,270円)よりさらに120円、
合計で290円も安くなってしまうのです。

このため、東海道本線の山科(京都府、幹線)から
神戸へ通う人の場合、1ヵ月の定期は、

 山科---神戸(81.4キロ) 39,130円

これを次のように分けると

 山科---京都(5.5キロ、幹線)  5,600円
 京都---大阪(特定区間)     16,840円
 大阪---神戸(特定区間)     12,530円

安くなる額は4,160円(10.6%)

こんな区間を設けたため運賃は混乱してしまいました。
つまり定期券にしろ、
上手につなげると安くなってしまうことが多いのです。

例6
横浜(神奈川県)から田端(東京都)に通うばあいの1ヵ月の定期代は

 横浜---田端(電車特定区間)35.9キロ 18,220円
 横浜---品川(特定区間)  22.0キロ  8,560円
 品川---田端(山手線)   13.9キロ  5,930円  
                    合計 14,490円

定期券を横浜-品川、品川-田端と2つに分けると
3,730円(20.5%)安くなってしまうのです。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

特定区間をうまく活用して節約した例をもう少し考えていきます。

例3
JR中央線吉祥寺(東京都)からJR京浜東北線蒲田(東京都、営業キロ30.4キロ)は、
吉祥寺-渋谷(営業キロ15.6キロ)と渋谷-蒲田(営業キロ14.8キロ)と
2つに分けて買います。

このように2つに分けたときは1ヶ月で81.7%、
6ヵ月では78.4%も通しで買った時よりも安くなってしまうのです。
吉祥寺-渋谷間が特定区間となっているため、
このように2つに分けると、通しで買うよりも安くなってしまうのです。

京都-大阪(42.9キロ)も特定区間です。
本来、730円の運賃が570円です。
JR大津(滋賀県)から大阪へ行く場合、普通運賃は、990円、
例2で記述した相模湖の時と同様、大津-京都(200円)、
京都-大阪(570円)と分けて買えば、770円、
やはり200円の節約です。

もちろん定期代も相模湖の例とまったく同じです。
JR大津-大阪間はJR西日本管内のため、
JR東日本管内のIC乗車券の設定はありません。

例4
理屈は前の例と同じですが、節約がビックになる例をあげてみましょう。

横須賀線久里浜(神奈川県)から山手線の大塚へ通う人の定期代です。
久里浜-新橋(山手線)が特定区間で、本来の運賃からみてきっぷで230円、
IC乗車券で235円安くなっています。
6ヵ月定期代46,050円、年間では92,100円の節約、
これは大きいデス。
私鉄の発達している京阪神地区の場合、
「特定区間」利用のチャンスは大きいものがあります。

このことについて、次回のご説明します。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

「東京・名古屋・大阪の特定区間の普通・定期運賃表」というのが
時刻表にポツンとの掲載されています。
なんの説明のないため、いろいろ憶測をよぶところですね。

じっと目を凝らしてみると、どうやらこれは、
JRと並行して走っているような”私鉄”と
営業競争上やむなく作った「特定」(ここだけ例外として特別です。
こうしないとお客様が私鉄にいっちゃうんでゴメンね、
といった風にとれます、事実そうですが・・・)の
運賃適用区間とわかります。
しかし、こんな「特別」を設けると、
それでなくとも矛盾含みのJR運賃は混迷を深めてしまいます。
何しろこれまでもちょくちょく記述してきたように
「普通運賃」は回数券や定期運賃のモトとなるわけですから・・・。
このことによって定期券や回数券までガタがきます。

特定区間があるのは、東京・名古屋・大阪地区のみです。
まずは、東京地区をみてみますと京成線と
競合する上野(東京都)-成田(千葉県)、
京王線と競合する高尾(東京都)-新宿(東京都)、
東急東横線と競う渋谷(東京都)-桜木町・横浜(神奈川県)、
京王井の頭線渋谷(東京都)-吉祥寺(東京都)、
京浜急行と競う新橋(東京都)-久里浜(神奈川県)その他,
なぜか横浜-鎌倉(神奈川県)などがあります。

現在、利用されている路線に、
特定区間が挟まっているかどうかJR線営業案内の「特定区間運賃表」に
良く目を通して確認してください。
あればしめたものです。
必ずといっていいほど運賃が安くなります。

「特定区間」というのは限られた区間で、
この区間を例えば「新宿-高尾」は得値です、
と決めているのであり、そこからひとつでもハミ出すと、
この「特定区間」は生きてこないのです。
これは、電車特定区間をひとつでもはみ出すと、
電車特定区間運賃が適用されないのと同じで、
あくまでも「●●-●●」のみの運賃です。

したがって、「特定区間」とそうでない部分を
2つに分ければ当たり前のことですが、安くなります。
新宿-高尾間は42.8キロ、この区間は本来「電車特定区間」で
電車特定区間の運賃表を見れば、
きっぷ730円・IC乗車券726円なのですが、
「特定区間」とされているため運賃は570円なのです。

もうお分かりのとおり、
特定区間の運賃は本来の普通運賃より安く設定されているのです。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

Aさんは青梅線日向和田(東京都)から中央線新宿(東京都)へ
通勤している人です。
Aさんは6ヵ月定期券を買って通勤していました。
値段は、123,560円です。

この区間の1ヵ月の定期の定期券のお値段は、23,950円で、
1ヵ月ずつ定期券を買ったときは、
23,950円✕6ヵ月=143,700円で6ヵ月定期のほうが
20,140円安くなります。
年間で40,280円安くなるわけで、
「利率」に細かい神経の持ち主であるAさんには
無視できない金額でした、
と過去形でいうのはAさんはさらにもう一歩進んだ形で
節約を実現したからです。

Aさんが着目したのは青梅線拝島(東京都)-新宿間の普通運賃の
やすさでした。
時刻表で見てここが「特定区間」となっていて。
”格安運賃”であることを知ったからです。

新宿-拝島間のキロ、34.1キロと電車特定区間の普通運賃表でみると、
本来きっぷ550円・IC乗車券561円のはずなのに,
きっぷ480円・IC乗車券473円にディスカウントされています。
その差、きっぷで70円、
これはいけると直下したAさんは6ヵ月定期を新宿-拝島、
拝島-日向和田と分けてみたのです。

すると、新宿-拝島 67,980円、
拝島-日向和田(14.5キロ)間34,840円を合算すると
102,820円です。
前のやり方より20,740円(1年では41,480円)、
さらに安くなることが分かったのです。
この金額は、改善前の1ヵ月定期の12ヵ月分の実に,
33.6%に当たるのです。

現在、利用されているJRで、
特定区間をはさんでいる場合お安くなりますから,
気をつけて試算することをおすすめします。

きっぷ,ブログ,運賃計算ルール,鉄道

「特定区間」をうまく使って、きっぷを2つに分けると
運賃が驚くほど安くなってしまう事があります。

東海道本線(琵琶湖線)の山科(京都府)から神戸(兵庫県)へ行くとき、
山科は特定区間に入っていないため山科-神戸(81.4キロ)の運賃は
本州3社の幹線運賃になってしまいます。

ところが、山科-京都(幹線)、京都-神戸と2つに分けると、
京都-神戸が特定区間となっているため、次に示すごとき運賃となって、
その開きは230円にもなってしまいます。

この区間はJR西日本管内の運賃適用で、JR東日本管内ではないので、
IC運賃の設定がありません。
このため、きっぷでもIC乗車券(Suica,ICOCA等)でも同一運賃です。

                          きっぷ        
山科-神戸(81.4キロ=本州3社幹線運賃)・・・・・ 1.520円
2つに分けると
                          きっぷ    
山科-京都(5.5キロ=本州3社幹線運賃)・・・・・・  190円
京都-神戸(75.9キロ=「特定区間」運賃)・・・・・ 1,100円

また、次のような例が出てきますから油断がなりません。
東海道本線横浜(神奈川県)から山手線の目白(東京都)に行くときです。
特定区間運賃や山手線運賃があることを知らずに横浜-目白間のきっぷを買うと、
横浜-品川、品川-目白とに分けてきっぷを買うのと比較すると、

                           きっぷ  IC運賃(JR東日本)   
横浜-目白(36.2キロ=東京の電車特定区間運賃)・・・ 650円  649円
横浜-品川(22.0キロ=     特定区間運賃)・・・ 300円  293円
品川-目白(14.2キロ=     山手線内運賃)・・・ 200円  198円

その差はなんときっぷで150円、IC乗車券で158円にもなります。

これは横浜-品川(22.0キロ)が「特定区間」運賃であるので、
400円(電車特定区間運賃)のところが300円となっているためと、
品川-目白間が山手線内運賃となっているためです。

150円は650円の23%に当たります。きっぷの買い方を変えただけで
こんなに大きな開きがでるのは大問題です。

JRは18種類の運賃表と4種類の換算表を使う運賃システムを設定しているために、
こんな矛盾を抱え込んでしまったのです。